「先輩‼あたしも手伝います!」



いきなり声を掛けられて慌てて振り向くと、そこには茉優ちゃんがいた。


病院から全力疾走で走ってきたのか、冬なのに汗だくでハアハアと荒い息をしている。



さっき、茉優ちゃんを病院に連れて行く途中の電車の中で、俺は彼女に、咲雪にはドナーがいないということと、咲雪のドナーが見つかる可能性を少しでも高める為に骨髄バンクへのドナー登録を呼びかけるビラを街路で配っていることをこっそり打ち明けた。



茉優ちゃんはそのことを覚えていて、咲雪のところに見舞いに行った後で早速応援に駆けつけてくれたらしい。


……しかし、


「……おい茉優ちゃん、大丈夫か?そんなに息切れして」


今にもへたり込みそうな茉優ちゃんにそう尋ねる。



「だっ大丈夫……ですう」



茉優ちゃんはそう言って、大きく深呼吸した。その途端にむせてげほげほと咳き込む。


その様子に思わず苦笑してしまった。