「さっ、さくゆき!さくゆきだって!
こ、これはウケるわ‼これはヤバイ‼」


「もう、お母さん行くよ」


「ご、ごめんごめん」



一生懸命笑いを堪えながら、あたしに肩を貸して立ち上がらせてくれるお母さん。



するとすぐにあたしの名前を間違えた看護師が駆け寄ってきて、あたしの体を反対側から支えてくれた。



二人に支えられながら診察室に入ると、開業医の新嶋先生が柔和な笑顔で迎えてくれた。



かつて大学病院の内科で名医として全国的に名を馳せていた新嶋先生。

笑顔からしてその辺の医者とは格が違う。


笑顔だけで患者の不安を拭い去る力がある。




「お、咲雪ちゃん。ずいぶん見ないうちに大きくなった……いや、綺麗になったと言うべきかな?学校ではモテモテだろ?」


「あたしの相手は一人だけですよー」



軽くのろける。