「…………咲雪は、もう日本にはいない。絵の勉強をする為に外国に留学したんだ。
このことはしばらく前から決まっていたんだが、咲雪は悠聖と別れるのが辛くて最後まで言い出せなかったんだ。
……今日、言うつもりだったらしいけど、結局言えないまま昼で早退してそのまま……今頃は、もう飛行機の中だ」
自分でも呆れるくらい本当のことが一つもない、完全な大嘘がすらすらと出てくる。
俺は最低だ。
『……お、おい、嘘だろ?』
呆然とした、すがるような悠聖の声。
もしここで一言「嘘だ」と言えたら……。
でも、その事を言うわけにはいかない。
「本当なんだ。絵を本格的に勉強したいっていうのは咲雪の小さい頃からの夢だったんだ。
画家で咲雪がずっと尊敬していた人が日本で個展をやってて、その時、咲雪はその人と話しをする機会があって、弟子入りして絵の修行をするっていう話を先方から持ちかけられたんだ」


