【空乃side】


「おい、バカ空、行くぞ」


むむむ...


なんかわたしの名前に余計なものがついてるの


は気のせい...?


「バカ空遅い」


はい、気のせいじゃないですね。


「れんこんーー!!!わたしの名前はそ、ら、の!!」


7時半を過ぎた頃、ある住宅街でわたしの


叫び声が響いた。


近所迷惑ってことはわかってるよ?


だけどさ...バカれんこんがうるさいから、ね


あ、れんこんっていうのは、野菜の方じゃない


よ笑


本名は上条 蓮(かみじょう れん)。


わたしとの関係を一言でいえば、幼なじみ。


生まれた時からずっと一緒なんだ。


家が隣で、ママ同士も高校と大学が一緒なんだ


って。


ちなみに、わたしと蓮は、ママ達の母校に通っ


てるんだよ!


「うるっせーな。とっととついてこい」


蓮は、目を細めて耳を塞いだ。


蓮...!!!!!!!


絶対、ぜーったい許さない!!!!!!!




わたしたちは、一駅先にある、高校を目指して


1本の電車に乗った。


朝だからということもあって、高校生やサラリ


ーマンのお父さんたちも多い。


蓮はさりげなくわたしを人混みの方じゃない


ところに連れていってくれるのは、わたしが


人混みを苦手だと知っているから。


ふっと蓮の横顔を見ると、不自然に心臓が


跳ねる。


蓮って昔から顔だけはいいんだよね...


さりげない優しさとかモテ男の証拠。


「もうすぐで着くから準備してろよ」


頭上で蓮の聞きやすい低い声が聞こえる。


「うんっ」


わたしは、持っていたカバンをギュッと握り


直した。


「よし、降りるぞ」


蓮ははぐれないように、そっとわたしの手を


握った。


「今日も人、多いね」


「まぁな。でっかいビルとかもあるしさ」


蓮はまた余裕そうに駅の前にある、大きなビル


を眺めた。


他人から見たら、カップルって思われるかも


しれない。


中学の時は、わたしたちが付き合っている疑惑