仕事の帰り道
なつみを呼び出して
話をした。
「本当に東京行くの?なんで?」
なつみは私の家庭の事情なんて
知らない。言ったこともない。
「ねぇ、なんで?学校も突然辞めるし
なんで相談してくれないの?」
言うしかない。
言わないと……
「あんね、うちもう家に居たくない。
毎日暴力、暴言。
学校もお母さんの指示で辞めたんだよ。
毎日働いて、月15万平均かな。
そこからお昼代抜いて他のお金貯金して
チケット代を地道に貯めてた。
もう、家には居たくない。辛いから。
逃げたい。ごめんね。
相談もしなくて。」
なつみは涙目で
「気づかないでごめんね。
いや、本当は気づいてたよ…
でも、言ってくれるの
相談してくれるの待ってた…
言いづらいよね。ごめんね。」
なつみは悪くないのに
ごめんねってずっと謝って
「あおいがそう思ってるなら
応援するよ。
遊びにも行く!私のこと
忘れないで…ね……!」
震えてる声で
一生懸命振り絞った声で
言ってくれたような気がした。
「ばあちゃんもじいちゃんも
なつみも応援してくれるから
頑張るよ。ありがとう。」
「お願いあるんだけどさ
久々にプリ撮って、
一緒にご飯食べようよ」
