翌日。
朝、目が覚めてベッドの中でゴロゴロしていたら、ドアをノックし、「失礼しまーす」という声と共にナラが部屋に入ってきた。ナラは瑠夏が起きているのに気がつくと、
「あれ、おはようございますー!瑠夏様、朝お早いんですね!私なんて、侍女のリーダーに毎日起こして貰わないと起きれないんですー。凄いですね、瑠夏様!」
「うん、ナラ、ありがと」
朝からナラはにこにこで元気だ。
ナラの後ろには大きなワゴンを押している少女達が、3人いた。
「あっ、そういえば瑠夏様、朝食の準備が出来ております。これから毎日、朝7時にお部屋に参りますね!ララ、リリ、ルル、例の物を」
ララ、リリ、ルルと呼ばれたやたら名前が気になる3人の少女達は、小さな体で大きなワゴンを押してきた。1人は慣れた手つきでワゴンからトレイ等を取り出す。なんとも言えない美味しそうな匂いがする。
残りの2人は、よたよたとよろめきながら巨大なダンボールを引っ張り出して来た。
その姿は今にも倒れそうで危なっかしい。
思わず瑠夏は声をかけた。
「ちょ…だ、大丈夫!?手伝おうか…?」
瑠夏の声に2人が同時に振り向く。
「「いえ、大丈夫です!」」
「そっか…はは、頑張れー!」
なんだかテンションが上がってきた。
ここ最近で、テンションが上がったのは久し振りだ。
2人が巨大なダンボールから取り出したのは、色とりどりの可愛らしい洋服や、きらびやかなドレス、バッグなどの小物類だった。2人はどんどんダンボールに手を突っ込み、おびただしい数のそれらをカーペットの上に並べていた。
あぁ、目の保養だなぁ…♡
全部、すごい可愛い…!
「あのぉー、その洋服とか、バッグとかって、誰の物なの?」瑠夏は半分夢見心地で尋ねた。1人が手を動かしながら言う。
「え?これですか??もちろん、瑠夏様のでございます!可愛いですよね〜♡」
瑠夏は一瞬フリーズした。
えっ…
えっ!?!?これ全部私の!?
ほんと!?えー凄い嬉しい…!!
「ほんとに私のなの!?これ全部!うわぁぁ…♡ありがとうっ!」
「「はい!」」
その後、瑠夏、ナラ、ララ、リリ、ルルの5人は朝食を食べながらあーだこーだと洋服を物色していた。
朝ご飯を食べてから、ナラと一緒にミンクさんの部屋に向かった。朝ご飯を食べて身支度を整えたら、部屋に来て下さいと言われていたのだ。
黒いドアには小さく金色の字で「最高司令官 ターナー氏」と彫られていた。
ほんとに、偉い人なんだな…
瑠夏はドアを2回ノックした。すぐ後に、ミンクさんがそのドアを開けてくれた。
ミンクさんは揃いのあのえんじ色のマントを着ていた。
「ああ、おはようございます。瑠夏様、朝早く来て頂いたのは結構ですが…寝間着くらいは着替えたらどうですか…??」
瑠夏は改めて自分の体を見下ろした。
「あ、いや、なななんか…き、気分?です!朝だし、いいきなり普通の服を選んで着るのもなんか気が引けたので!まぁとりあえずパジャマかな?的な!」
瑠夏は笑顔で言い切ると、ピースサインを顔の前に突き出した。ミンクさんは苦笑いしている。
「えーっとー…わ、わかりました…そういうことなら。でも、あの洋服は普通に着て貰っていいんですからね?さて、そろそろ本題に移りましょうか。今朝あなたをここに呼んだのは…ユウゴ、どうぞ」
“ユウゴ”と呼ばれた人は、部屋のカーテンの陰からすっと出てきた。瑠夏と同じくらいの年頃の少年だった。背筋がしゃんと伸びていて、顔立ちもよく見るとアイドル並みに整っている。
うわぁぁー、あの子かっこいいな…
翔と同じくらいイケメンッ!←
どうでもいいことをつらつらと考えていると、そのユウゴさんが何かミンクさんと話していた。
何の話だろ…?瑠夏が想いを巡らしていると、突然声がした。
「ええっ!?えー…俺…無理なんすけど」
ユウゴさんの声だった。“なんすけど”の部分がなんか…親しみやすそうな雰囲気を醸し出していた。
「それでも頑張るのです。あなたは彼女の指導者として、良き魔法使いですよ」
ミンクさんがゆっくりと諭すように言った。再びユウゴさんが口を開く。
「わかりました…でも俺だけでは手に負えない場合、ミンク様に、直々のご指導をお願いしても良いですか?」
「もちろん。今日は、瑠夏様との絆を深めるために、共に行動して下さい。よろしいですね?」
「はーい…俺、早く魔法使いたいんですけど、魔法を見せても良いですか?最近うずうずしちゃって」ユウゴさんは照れながらぼそぼそと言った。
「ええ。君の自由です。どうぞ好きな様に指導して良いですよ。今日から魔法を教えても構いません。さあ、軽く自己紹介をしてから行きなさい。これが今日のリストです。2人で協力して解決すること。では」
そう言い残すと、ミンクさんは1枚の紙をユウゴさんに渡し、指をまた指をパチンと鳴らした。
その時、私は1度、まばたきをした。
目を閉じ、すぐに開ける。
0.1秒程で済むであろうその動作の間に、
ミンクさんはその場から居なくなった。
部屋の中は、風の音が聞こえるほど、
静かだった。
朝、目が覚めてベッドの中でゴロゴロしていたら、ドアをノックし、「失礼しまーす」という声と共にナラが部屋に入ってきた。ナラは瑠夏が起きているのに気がつくと、
「あれ、おはようございますー!瑠夏様、朝お早いんですね!私なんて、侍女のリーダーに毎日起こして貰わないと起きれないんですー。凄いですね、瑠夏様!」
「うん、ナラ、ありがと」
朝からナラはにこにこで元気だ。
ナラの後ろには大きなワゴンを押している少女達が、3人いた。
「あっ、そういえば瑠夏様、朝食の準備が出来ております。これから毎日、朝7時にお部屋に参りますね!ララ、リリ、ルル、例の物を」
ララ、リリ、ルルと呼ばれたやたら名前が気になる3人の少女達は、小さな体で大きなワゴンを押してきた。1人は慣れた手つきでワゴンからトレイ等を取り出す。なんとも言えない美味しそうな匂いがする。
残りの2人は、よたよたとよろめきながら巨大なダンボールを引っ張り出して来た。
その姿は今にも倒れそうで危なっかしい。
思わず瑠夏は声をかけた。
「ちょ…だ、大丈夫!?手伝おうか…?」
瑠夏の声に2人が同時に振り向く。
「「いえ、大丈夫です!」」
「そっか…はは、頑張れー!」
なんだかテンションが上がってきた。
ここ最近で、テンションが上がったのは久し振りだ。
2人が巨大なダンボールから取り出したのは、色とりどりの可愛らしい洋服や、きらびやかなドレス、バッグなどの小物類だった。2人はどんどんダンボールに手を突っ込み、おびただしい数のそれらをカーペットの上に並べていた。
あぁ、目の保養だなぁ…♡
全部、すごい可愛い…!
「あのぉー、その洋服とか、バッグとかって、誰の物なの?」瑠夏は半分夢見心地で尋ねた。1人が手を動かしながら言う。
「え?これですか??もちろん、瑠夏様のでございます!可愛いですよね〜♡」
瑠夏は一瞬フリーズした。
えっ…
えっ!?!?これ全部私の!?
ほんと!?えー凄い嬉しい…!!
「ほんとに私のなの!?これ全部!うわぁぁ…♡ありがとうっ!」
「「はい!」」
その後、瑠夏、ナラ、ララ、リリ、ルルの5人は朝食を食べながらあーだこーだと洋服を物色していた。
朝ご飯を食べてから、ナラと一緒にミンクさんの部屋に向かった。朝ご飯を食べて身支度を整えたら、部屋に来て下さいと言われていたのだ。
黒いドアには小さく金色の字で「最高司令官 ターナー氏」と彫られていた。
ほんとに、偉い人なんだな…
瑠夏はドアを2回ノックした。すぐ後に、ミンクさんがそのドアを開けてくれた。
ミンクさんは揃いのあのえんじ色のマントを着ていた。
「ああ、おはようございます。瑠夏様、朝早く来て頂いたのは結構ですが…寝間着くらいは着替えたらどうですか…??」
瑠夏は改めて自分の体を見下ろした。
「あ、いや、なななんか…き、気分?です!朝だし、いいきなり普通の服を選んで着るのもなんか気が引けたので!まぁとりあえずパジャマかな?的な!」
瑠夏は笑顔で言い切ると、ピースサインを顔の前に突き出した。ミンクさんは苦笑いしている。
「えーっとー…わ、わかりました…そういうことなら。でも、あの洋服は普通に着て貰っていいんですからね?さて、そろそろ本題に移りましょうか。今朝あなたをここに呼んだのは…ユウゴ、どうぞ」
“ユウゴ”と呼ばれた人は、部屋のカーテンの陰からすっと出てきた。瑠夏と同じくらいの年頃の少年だった。背筋がしゃんと伸びていて、顔立ちもよく見るとアイドル並みに整っている。
うわぁぁー、あの子かっこいいな…
翔と同じくらいイケメンッ!←
どうでもいいことをつらつらと考えていると、そのユウゴさんが何かミンクさんと話していた。
何の話だろ…?瑠夏が想いを巡らしていると、突然声がした。
「ええっ!?えー…俺…無理なんすけど」
ユウゴさんの声だった。“なんすけど”の部分がなんか…親しみやすそうな雰囲気を醸し出していた。
「それでも頑張るのです。あなたは彼女の指導者として、良き魔法使いですよ」
ミンクさんがゆっくりと諭すように言った。再びユウゴさんが口を開く。
「わかりました…でも俺だけでは手に負えない場合、ミンク様に、直々のご指導をお願いしても良いですか?」
「もちろん。今日は、瑠夏様との絆を深めるために、共に行動して下さい。よろしいですね?」
「はーい…俺、早く魔法使いたいんですけど、魔法を見せても良いですか?最近うずうずしちゃって」ユウゴさんは照れながらぼそぼそと言った。
「ええ。君の自由です。どうぞ好きな様に指導して良いですよ。今日から魔法を教えても構いません。さあ、軽く自己紹介をしてから行きなさい。これが今日のリストです。2人で協力して解決すること。では」
そう言い残すと、ミンクさんは1枚の紙をユウゴさんに渡し、指をまた指をパチンと鳴らした。
その時、私は1度、まばたきをした。
目を閉じ、すぐに開ける。
0.1秒程で済むであろうその動作の間に、
ミンクさんはその場から居なくなった。
部屋の中は、風の音が聞こえるほど、
静かだった。

