栗原瑠夏、13歳。

4月5日の今日は桜坂中学校の入学式。
桜坂という名前からか、校内には約150本のソメイヨシノが植えられている。そのおかげで綺麗だが儚げな花吹雪が舞う。
特技は、
歌、バレエ、絵を描く。←ザ、女子!
ちなみに中身もしっかり女子でございます。兄が大好きで、趣味は映画鑑賞と読書と歌、可愛いものとスイーツ大好きな天然M少女。

今日から私も中学生かぁ……
うわ、あの子可愛いっ、あ、リア充か…腕組んでんじゃねーよ、バァカ…
スカートみじかいしっ!あれ校則大丈夫かな?まぁいっかー。
あ、そういえば名札忘れたな…

瑠夏は颯爽と歩きながら正門に向かった。
そのすぐ横にクラス表が貼り出され、少年少女達が群がっている。隣の子と肩を叩き合っている子や抱き合っている子。どうやら同じ小学校らしい。
私は公立の小学校から受験したので、桜坂中には知ってる子はいないと思う。
私は…2組ね。教室3階か…登るの辛っ!
瑠夏はどうにかへとへとになりながらも無事に教室まで辿り着いた。教室には、1人を除いて誰もいなかった。教室に着いて一番最初に目に飛び込んできたもの…それは

少し癖のある髪、逆三角形の筋肉質の背中、長い手足、そして切れ長のライオンの様な目。
鼓動が速くなるのがわかる。
私は手で持っていた手提げを落としてしまった。このまま心臓の音があの人まで聞こえてしまうのではないか。
「え……?なんで…」
震える私の声に、その人がゆっくりと振り向いた。
「瑠夏。久しぶり」
「え……か…翔?」
「それ以外に誰がいるんだ?いつ来るんかなーって、待ちくたびれた」
「え………ここで何して…」
「出来れば会いたくなかったとか思ってんの?動揺し過ぎだぞー」
私がこんなに動揺するのも仕方がない。彼は、私が小学校の3年生からずっと片思いしていて、卒業前に告白したまま返事が返って来ていない西村翔だ。
その上彼は頭脳明晰、スポーツ万能で、しかも女子を相当惹きつける容姿をしている。それに、
彼はあの有名な開○中学校に通うと噂されていた。

それなのに、どうして…?

どうして、ここにいるの……?
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「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。これから頑張っていきましょう」

体育館での入学式を終え、しんとした教室に、ぽつんと担任の先生の声が響く。

「「「よろしくお願いします」」」

親達から盛大な拍手が送られる。
そんな中、私はただひたすら考え続けていた。頭がパンクしそうだ。
なんでここにいるんだろ……
まさか何か悪いことして入学許可されなかったとか?
いや、それはないない!!
ないないないない!!!
翔がそんなことするわけないっ!
え、じゃあなんでー?
…って考えてても分かるわけない。うん。

ということで私は考えるのをやめることにした。でも気になる…