ユウゴは必死にテーニンさんにすがろうとする瑠夏をずるずる引きずり、人混みの中から出ようとしていた。先程からずっとわめいている瑠夏を見ると、次第に腹が立ってきた。
「ほら、もう諦めろって。他の人にも迷惑がかかるだろ!」
そう言ってユウゴは瑠夏の顔を覗き込んだ。
そして、我に返った。
瑠夏の瞳は赤く染まり、頬が僅かに濡れていた。こちらを見つめるその顔は、今までの中で
ー1番、綺麗だった
ユウゴの頭の中はみるみる罪悪感で溢れかえり、後から後から言葉が出て来た。
「あっ…そ、その…ごめん!!別に傷つけようとした訳じゃなくて…!あああああと、腕も引っ張ってごめん…痛かったよな?俺、おれ、キツい言い方で…ほんとごめん、悪気は無かったんだ!ごめん!!」
「ユウゴ…違うの……」
瑠夏は首を横に振った。
「へっ?何が?」
「ユウゴのせいじゃない…ただ、さっき…」
「うん?さっき、どうしたんだ?」
「目に、睫毛が入って、あと、風に乗ってゴミと埃が…目の中に、侵入したの。」
ユウゴはホッとして下を向く。
俺が傷つけた訳じゃないのか…
良かった…
でも侵入って、それ言い方おかしいだろ。
ユウゴが再び瑠夏に視線を戻すと、瑠夏がこちらを上目遣いで見ていた。
「心配かけて、ごめんね?もう大丈夫」
「あ、あぁ。いや、あの…うん。」
駄目だ、ちゃんと目見れないんだけど…
なんでだ…?
その頃、瑠夏の頭の中では……
ユウゴ、心配してくれたんだな…
顔赤いけど、熱でもあるのかな
頭の中で全く違う事を考えている2人であった。
「よし、国王達に会いに行こう」
「うん、そうだね」
そして2人はまた歩き出した。
「…あ」
突然、ユウゴが足を止めた。
「ん?どしたの?」
ユウゴは言いにくそうな顔で答えた。
「あのさ…いきなりだけど、魔法使っていい?ってゆうか、使った方が手っ取り早いんだけど…いい?」
「うん!もちろん!見てみたいなぁユウゴの使う魔法…で、どんな魔法を使うの?」
「まぁ、簡単に言うと移動するだけなんだけど…瑠夏は、高い所大丈夫か?」
「あ….ちょっと怖いかも。でも…」
「でも?」ユウゴは首を傾げて返答を促した。
「ユウゴがいてくれるなら、頑張れるよ」
予想外の言葉に、ユウゴは目を見はった。
「お、おぅ、わかった。じゃあ、行くか」
何だか照れ臭くて、頭を掻いた。
「行くってどこに?」
「説明すると長いから、後でな」
ユウゴは安心させる為に微笑んだ。
「うん!」
その時、瑠夏とユウゴの頰がピンクに染まっていた事に、まだ誰も気付いていなかった。
ユウゴと瑠夏は、人混みから離れた路地に入った。
「で…その、高い所に行くんだけど、瑠夏って運動は得意?」
「うん!一応得意だよ!!」
ユウゴは胸を撫で下ろした。
「それなら大丈夫だな、じゃあ、手握ってくれる?」
瑠夏は一瞬で耳まで赤くなった。
「えっ…え、ええええ」
勝手に動揺していると、頭を叩かれた。
「変な意味じゃねーから。身体の一部が繋がっていないと、一緒に連れて行けなくなるだけだ。な?」
「な、なんだ…はい」
瑠夏は、差し出された手をしっかりと握った。
「まず、一番やってはいけないこと。それは、不安に思う事だ。安心してリラックスしないと魔法は使えない。」
「ふぉっ、うううん」
「舌噛むほど怖い?まあ俺がいるから安心してメリーゴーランドに乗ってるつもりでいろ。準備はいい?」
「う、うん!大丈夫だよ……きっと」
ひときわ強い風が吹いた。
瑠夏はとっさに目を瞑った。
「瑠夏、目開けて」
瑠夏は恐る恐る目を開けた。
そこには…
何も無かった。
「ユウゴ、何が大丈夫なの?何も見えないんだけど」
ユウゴは軽く溜息をついた。
「さっき、やっちゃいけないって言った事、覚えてる?」
「えっと、不安に思うこと…あ、ごめんなさい、今私、すごい不安だった」
「その通り。よく出来ました。じゃあ、もっかい目を瞑ってごらん」
瑠夏は言われた通りにした。
「自分を信じて。俺を信じて。きっと大丈夫。怖くなんてない。」
ユウゴの言葉に心がほぐされ、不安な気持ちは消えてきた。
「うん!」
「目の前には、凄いものが浮かんでる。魔法使いにしか、見えないものが。さあ、目を開けて?」
今度は、恐る恐るではなく、ぱちっと目を開けた。
目の前には、キラキラと光に反射して煌めく透明な階段が空まで続いていた。
その光景に目を奪われていると、ユウゴがパチパチと手を叩いた。
「第一関門突破、おめでとう。普通の人なら、恐怖心から逃れるのに一週間はかかるんだ。瑠夏は凄いな」
「ううん、多分、ユウゴのおかげだよ!」
「そうかな?じゃあ、否定はしないでおく。それ、手すりとか無いから気をつけて。一応階段の周りは、強力な風で覆っておいたからよろけても多少は大丈夫だ。先、どうぞ」
その言葉に耳を疑った。
「えっ、私が先行くの??」
「瑠夏なら大丈夫だと思うよ、うん。」
ユウゴは腕組みして、勝手に頷いている。
瑠夏はしかめっ面をして、ため息をついた。
「はい。。頑張ります…」
瑠夏は、空への第一歩を踏み出した。
「ほら、もう諦めろって。他の人にも迷惑がかかるだろ!」
そう言ってユウゴは瑠夏の顔を覗き込んだ。
そして、我に返った。
瑠夏の瞳は赤く染まり、頬が僅かに濡れていた。こちらを見つめるその顔は、今までの中で
ー1番、綺麗だった
ユウゴの頭の中はみるみる罪悪感で溢れかえり、後から後から言葉が出て来た。
「あっ…そ、その…ごめん!!別に傷つけようとした訳じゃなくて…!あああああと、腕も引っ張ってごめん…痛かったよな?俺、おれ、キツい言い方で…ほんとごめん、悪気は無かったんだ!ごめん!!」
「ユウゴ…違うの……」
瑠夏は首を横に振った。
「へっ?何が?」
「ユウゴのせいじゃない…ただ、さっき…」
「うん?さっき、どうしたんだ?」
「目に、睫毛が入って、あと、風に乗ってゴミと埃が…目の中に、侵入したの。」
ユウゴはホッとして下を向く。
俺が傷つけた訳じゃないのか…
良かった…
でも侵入って、それ言い方おかしいだろ。
ユウゴが再び瑠夏に視線を戻すと、瑠夏がこちらを上目遣いで見ていた。
「心配かけて、ごめんね?もう大丈夫」
「あ、あぁ。いや、あの…うん。」
駄目だ、ちゃんと目見れないんだけど…
なんでだ…?
その頃、瑠夏の頭の中では……
ユウゴ、心配してくれたんだな…
顔赤いけど、熱でもあるのかな
頭の中で全く違う事を考えている2人であった。
「よし、国王達に会いに行こう」
「うん、そうだね」
そして2人はまた歩き出した。
「…あ」
突然、ユウゴが足を止めた。
「ん?どしたの?」
ユウゴは言いにくそうな顔で答えた。
「あのさ…いきなりだけど、魔法使っていい?ってゆうか、使った方が手っ取り早いんだけど…いい?」
「うん!もちろん!見てみたいなぁユウゴの使う魔法…で、どんな魔法を使うの?」
「まぁ、簡単に言うと移動するだけなんだけど…瑠夏は、高い所大丈夫か?」
「あ….ちょっと怖いかも。でも…」
「でも?」ユウゴは首を傾げて返答を促した。
「ユウゴがいてくれるなら、頑張れるよ」
予想外の言葉に、ユウゴは目を見はった。
「お、おぅ、わかった。じゃあ、行くか」
何だか照れ臭くて、頭を掻いた。
「行くってどこに?」
「説明すると長いから、後でな」
ユウゴは安心させる為に微笑んだ。
「うん!」
その時、瑠夏とユウゴの頰がピンクに染まっていた事に、まだ誰も気付いていなかった。
ユウゴと瑠夏は、人混みから離れた路地に入った。
「で…その、高い所に行くんだけど、瑠夏って運動は得意?」
「うん!一応得意だよ!!」
ユウゴは胸を撫で下ろした。
「それなら大丈夫だな、じゃあ、手握ってくれる?」
瑠夏は一瞬で耳まで赤くなった。
「えっ…え、ええええ」
勝手に動揺していると、頭を叩かれた。
「変な意味じゃねーから。身体の一部が繋がっていないと、一緒に連れて行けなくなるだけだ。な?」
「な、なんだ…はい」
瑠夏は、差し出された手をしっかりと握った。
「まず、一番やってはいけないこと。それは、不安に思う事だ。安心してリラックスしないと魔法は使えない。」
「ふぉっ、うううん」
「舌噛むほど怖い?まあ俺がいるから安心してメリーゴーランドに乗ってるつもりでいろ。準備はいい?」
「う、うん!大丈夫だよ……きっと」
ひときわ強い風が吹いた。
瑠夏はとっさに目を瞑った。
「瑠夏、目開けて」
瑠夏は恐る恐る目を開けた。
そこには…
何も無かった。
「ユウゴ、何が大丈夫なの?何も見えないんだけど」
ユウゴは軽く溜息をついた。
「さっき、やっちゃいけないって言った事、覚えてる?」
「えっと、不安に思うこと…あ、ごめんなさい、今私、すごい不安だった」
「その通り。よく出来ました。じゃあ、もっかい目を瞑ってごらん」
瑠夏は言われた通りにした。
「自分を信じて。俺を信じて。きっと大丈夫。怖くなんてない。」
ユウゴの言葉に心がほぐされ、不安な気持ちは消えてきた。
「うん!」
「目の前には、凄いものが浮かんでる。魔法使いにしか、見えないものが。さあ、目を開けて?」
今度は、恐る恐るではなく、ぱちっと目を開けた。
目の前には、キラキラと光に反射して煌めく透明な階段が空まで続いていた。
その光景に目を奪われていると、ユウゴがパチパチと手を叩いた。
「第一関門突破、おめでとう。普通の人なら、恐怖心から逃れるのに一週間はかかるんだ。瑠夏は凄いな」
「ううん、多分、ユウゴのおかげだよ!」
「そうかな?じゃあ、否定はしないでおく。それ、手すりとか無いから気をつけて。一応階段の周りは、強力な風で覆っておいたからよろけても多少は大丈夫だ。先、どうぞ」
その言葉に耳を疑った。
「えっ、私が先行くの??」
「瑠夏なら大丈夫だと思うよ、うん。」
ユウゴは腕組みして、勝手に頷いている。
瑠夏はしかめっ面をして、ため息をついた。
「はい。。頑張ります…」
瑠夏は、空への第一歩を踏み出した。

