*プロローグ*

ー 高校1年 春 ー

ユウゴ様へ

こんにちは、瑠夏です。お久しぶりですね。
そちらの世界は今どうなっていますか?
私とあなたの伝説は、子供達に伝えられているでしょうか?
今年で、あなたも私も16歳。
こっちに来る時は、手紙を送って下さいね。
待っています。

瑠夏
………………………………………………………

今でも忘れていない。
15歳の時にあなたと交わした約束を。


栗原瑠夏、16歳。
今年から桜坂高等学校に入学する、高校1年生。今日は待ちに待った入学式。
雲一つない空、桜吹雪の舞う道、少年少女のはしゃぐ声……桜坂高校の風景が、目に浮かぶ。あぁ、なんて素敵なのっ!

ん…?

時計を何気なく見たら、相当な時間が過ぎていた。あああああああああ!!!折角早起きしたのにぃ…とか言ってる場合じゃない、早く行かなきゃ!!
「行ってきます、お母さん!」
と言って玄関を飛び出す。
後ろで何か叫んでいるお母さんの声が聞こえるけど、気にしない事にする。
いいや面倒くさ、飛んでしまえ!
アレンダーナ王国で鍛えた私の能力を、舐めんなっっ!

「アリスタ、カポナータ、ミンク」
足が地面から離れ、身体が軽くなる。
これでとりあえず遅刻は免れた。
今日も上手くいって良かった…

え、言っている事が意味不明ですって?
わかった、でもまるまる3年分の出来事だから話し始めると1年はかかるけど大丈夫かな?

それならいい、話は3年前に遡るの…………