持っていた筆箱をカバンに入れ、それを手に取る。まだ少しひんやりとしていて買ってきてからそれ程時間はたっていないと思われる。


「……いちごみるく」


裏を見れば、

"お疲れ。お子ちゃま結城"

こんなの書くヤツきっとひとりしかいない。労うきあんの?ないの?




「……明日、しばく」


口では物騒なことを言っているが女子が好みそうなやつを自販機で買ってる姿を想像すると笑いが出た。


少しだけ優しいかもと思った、なんて死んでも言ってやらない。


「……って部活行かなきゃ」


廊下を走って、風をきっていく。
体に感じる風が気持ちいい。



帰りに飲んだいちごみるくは、とてつもなく甘ったるかったけどいつもよりほんっの少しだけ、ほんと少しだけだけど美味しく感じたのは気のせいだという事にしておく。