そのまま笠松清志講座が彼女達によって始まってしまった。場所は私の教室。
近くの席の和奈に助けを求める視線を送ったが爆笑されてスルーされた。薄情者め!


「まず基本中の基本!笠松くんはね、」

「……最低人間。初対面で人を馬鹿にする」


私を囲んでいる女バスメンバーその1、梨奈に向かってぼそっと言うとアホか!と叩かれた。あなた運動部なんだから手加減とかしてよ。そして、私をビシッと指してドヤ顔でいう。



「いい!?入学式のあんたの起こした騒ぎからあんたはそう思ってるのかもしれない……」

「あ、知ってんじゃん。ならアイツの性格もわかるんじゃあ……」

「それは心があんな態度とるからでしょ」


ケラケラ笑いながら私の言葉を遮ったのは女バスメンバーその2、奏だ。
は?と思わず返すと表情を変えないまま説明する。


「初対面の相手に口が悪いのは心もだったじゃん。そりゃあ、ねぇ?普通の女の子見たいに優しくしようとは思わないでしょ」

「いや、仕掛けてきたのはアイツで」

「でもそれ以上の言葉の悪さで言い返したのは?心でしょ?」


奏のその言葉に私の周りにいた子達が頷く。そしてメンバーその3、皐月が説明を始める。


「笠松くんはね、成績優秀・運動神経よし・イケメン、この三つを兼ね備えたまさに才色兼備なの!さらに性格も優しくて明るい、そしてたった2週間で結構強豪なうちの野球部で1軍入り……つまり!心、アンタ鈍すぎる。皆の憧れ、笠松くんと運命的な出会いをした癖になんでそんな事も知らないわけ?」

「どこをどう見たらあれが運命的な出会いに修正されるんだ。もう1度見直してこい」



呆れた目で見たが、キラキラした皆の顔に押される。お前ら裏の顔知っても絶対キャーそんな所も素敵ーみたいに言うタイプだよな、そうだよな知ってるよ。


そう考えているうちに予鈴がなり、皆クラスに戻って行きほっとしたが、部活の後にもみっちり笠松清志講座第二弾が開かれて疲れまくるのはまた別の話だ。