宛名のないラブレターをキミに

「え、あの」



「…ない。」


王子が何かを言っていたのだが、それが少し小さめの声で聞き取れなかった私は、なんですか?と聞こうとして

聞けなかった。



「…王子じゃない。

黒田、涼介。」


しっかりと目を合わせてそう言われた私は、息が詰まったかのようにして声が、言葉が出てこなかった。

何か、言わなければ。


なんとか振り絞った声を出す。

少し、震えていたかもしれない。



「山内陽菜、です。」