宛名のないラブレターをキミに

「なにしてんの。」


私がいきなり頬をつねったことを王子は吃驚した様子で見ていたが、急に笑い出す。


頭がおかしい子、とでも思われていたらどうしよう。
それは心外である。


「や、これはちがくて…」


なんとか言い訳しようと慌てて言葉を発すると




「…ほら、赤くなってる。」


私が思い切りつねったことで赤くなったのであろう頬に、そっと手を添えた。