宛名のないラブレターをキミに

だけど今回はなんとか叫びそうになるのをぐっ、と我慢し。


吃驚したことで急に早く働き始めた心臓を落ち着かせながら、じとりとした目のまま振り返る。

決して驚かされたことを根に持っているわけではない。決して。



「ぷっ、すげー顔。」

そこには私の顔を見て




馬鹿にしたように笑う王子がいた。



(…まだねぼけているのかも)

そっと右手を頬に持っていって、



「いたっ」

自分の頬を思い切りつねった。