宛名のないラブレターをキミに

でも床がない、なんてそんな訳はなく。



何故か意外と落ち着いている頭で、1段踏み外したのだと理解する。


落ちていくのは自分なのに、

あ、やばい…
なんてまるで他人事のように思えた。


痛みに耐えるよう目をギュッと閉じると目の前一面に広がる、暗闇。




「っ、あぶね」



(あれ…)



だけど落ちたときに感じるはずの痛みは襲ってこなかった。


強く閉じていた瞼をゆっくりと上げたものも、ぼんやりとしか見えない。

あぁ、だれかが受け止めてくれたんだ…とだけやっと理解する。



「ちょっ、おい、」



こんな展開まるで王道の少女漫画じゃないか、なんて考えつつも眠気に勝てず瞼が落ちていく。



横で慌てるような、誰かの声を聞きながら私の意識は沈んでいった。