宛名のないラブレターをキミに

「あ、やっと笑った。」

「え?」





「だって、



ずっと困った顔、してたから。
笑ってたほうがかわいいよ。」



続けて王子の口から出た言葉に、やっと引いてきていた熱がぶり返してくるのを感じた。


じゃあね陽菜ちゃん、と何事もないように去っていった王子に


「な、慣れてらっしゃる…」


と思わず口に出してしまったのは許してほしい。