宛名のないラブレターをキミに

ぼそりとつぶやいた私の声が届いたのか



ぴくり、と眉が動いた。


「ごめんなさい!」


ぶつかった上に何かまずいことを言ってしまったのだろうか、と思い、思わず謝罪を口にする。


「いや、大丈夫。

キミもけが、してない?」




よく見ると王子の手にはいくつもの本が積まれていて、ぶつかったときに落ちたのか何冊か床に散らばっている。