どうかこの声あなたに届けて




でも、いっくんに喋りかけてもらえたのが嬉しい私は


「もぅ、いっつもそう言って……。
そろそろちゃんと教科書持ってきてよ。」


強く注意なんてできず、ましてや心の中ではまた忘れて欲しいなんておバカな事を考えてしまう……。



けど、いっくんもいっくんで
「サンキューな絵麻!!」なんて言って私の好きな飴と一緒にキラキラした笑顔を届けてくる。


私の隣にいる里帆ちゃんとまひるちゃんを除く私を含めたこのクラスの女子のみなさんはいつもそんないっくんの笑顔に頬を赤らめるてしまうけれど、本人はそんな女子の様子に気づくはずもなく何事もないように飄々と自分の教室に帰って行くからタチが悪い。