どうかこの声あなたに届けて



絵麻は強くなったと思う。


小さい頃は「いっくん、いっくん」って俺に引っついてばっかで、転けたとか、頭打ったとかだけですぐ「ギャーギャー」泣いてたのに……。


昔は俺の方が年上の感じがするって言われていたけど、今まで絵麻の方がずっと年上のようだ。


気づくと絵麻は俺を置いてちょっと前を歩いて、「いっくん、遅ーい!!」なんて言っている。



「待てよ」と言っても俺を置いていく絵麻。



何だか幼い頃の絵麻の背中とかぶって見えて、
俺は無意識に手を伸ばしてた。



「なんだよもう」とふざけて言ってみたが俺の気持ちは複雑だった。



走る絵麻の背中がまるで“バイバイ”って言っているようで……