どうかこの声あなたに届けて



「いっくんなんで急にそんな事、冗談でしょ?
ねぇ、いっくん?」


「冗談だよ」って一言そう言って欲しいだけなのに……どうしていっくんはさっきから黙ったままなの?


「ねぇ、何でさっきから黙ってるの?
嘘なんでしょ?
私はそんな嘘で怒ったりしないよ?
ねぇ、だから、おねがい嘘だって言って?
おねがい……。」


いくら私がおねがいしても、いっくんは顔を
背けて首を振るばかりだった。


そしていっくんは、


「絵麻ごめん。冗談なんか言ってない 本当に
好きな人が出来たんだ……。」


と、言ってきた


胸がはち切れそうに痛い……


いっくんの隣は私の居場所だったのに、
これからは私以外の人の居場所になるんだっ て考えるだけで胸が悲鳴を上げる


《 嫌だ、嫌だ、嫌だよ !!》と


「だから……」と何か言いかけていたいっくんの言葉を遮って私は



「もういいよ……。もう分かったから……。
だからもうそれ以上何も言わないで!!
もう、いっくんの言葉なんか聞きたくない
顔もみたくなんかない!」


そう言って私はいくっんに背を向けて駆け出していた……