どうかこの声あなたに届けて





私は職員室の前まで全速力で走った。


職員室までの道のりはそんなに長くないのに
私の息はとても上がっていたて、後ろに
いっくん達がいたらどうしようと恐る恐る
ふり向いて見ると、そこにはいっくんたちの
集団の姿はもうなくて、私はちょっとホッと
してしまった……。


ちょっとの間、私は走って乱れた呼吸を整え
それから職員室の扉を開けた。


すると、

「おぉ桃井か!こっちだ」と言って私を誰が
呼んできた。


その声の主は、私の担任の福富先生だった。
福富先生は若くて、生徒の信頼も厚く
爽やかな感じの先生。


クラスのみんなからは“福ちゃん”と
呼ばれていて、まだあまり喋ったことは
ないけれど、きっといい先生に違いないと
私は思っている。