苛立ちを含んだ声で問いかける先輩。 だけど今の私では答えることすらできない。 言葉を発した瞬間、涙がこぼれてしまいそうだから。 「無視するんじゃねぇよ!!」 珍しく先輩が声を荒らげた。 私の手首をギュッとつかむ。 「いた…っ、離して…」 「お前が答えるまで離さない。さっきの質問に答えろ。」 そういう先輩の瞳は少しぎらついていて、怖かった。 「や、だ…」 離してよ。痛いよ、先輩。 それに言いたくないよ。 先輩が他の誰かと付き合うのが嫌で仕方ない、なんて。