小雨の降っている夜。

薄暗い路地裏に2人の男がいた。


(なんでこんな所で倒れているんだ?)

長身で黒いマントに覆われている男が倒れている青年を見ていた。

(どうやら、コイツは悪魔のようだな…)

しゃがみこみ、倒れている青年の上半身を起こしてみると…

「驚いたな...」

綺麗な顔の持ち主だった。
そして、驚くほど綺麗な銀色の髪の毛だった。

「まるで絹のよう…」

男はそっと呟いた。




「う...ッ」

倒れていた青年が不意に呻いた。

「血...血が…」

苦しそうに呟いている。

「血?お前は飲まないのか?」


「血なんて飲みたくないのに…」

「へぇ...」

この時男はいいことを思いついた。



「なぁ、お前。」

青年に微笑みかけた。



 
「そんなんじゃ生きていけないぞ。」

ゆっくり言った。


「だから、血を好きになるようにしてやる。」

にやりと笑う。

「はっ?そんなことできるわけが無いだろ。」

青年は嘲笑った。

「ところが、それは可能なんだ。」

それを聞いた青年の目は見開いた。

「…あんた...も悪魔なのか?」

「さぁ?どうだろうね?」

不敵な笑みを浮かべる。




「ハァ...お前の好きなようにしてくれ。」

青年はため息をつくと力なくそう言った。


(しめた。)

心内、喜んだ。好きなようにできるということは、コイツを手に入れることも出来る。

そして、男は手首を爪で切った。

手首から血がどくどくと流れ出る。それを見た青年はごくりと喉を鳴らした。




「さぁ、この血を飲め...」


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