振り返ると、ゴスロリを着ている小柄な女性がいた。

「ああ、君…さっきの…」

「はい。先程は失礼致しました。
ローズと申します。」


「ローズ…ひょっとしてこの薔薇を?」

そう言われたローズは少し顔が明るくなった。

「ええ、管理は私がやらせて頂いてます。
アベル様が名前で指名して頂きました。」


なるほど。彼ならやりかねないな。


「そうだったんだ。薔薇、とても綺麗だよ。」

クスクス笑いながら辺りの薔薇を眺める。

それにしても本当に色とりどりの薔薇で本当に綺麗だ。心が安らぐ。


「あの…デューク様。」

少し困った顔をしている。

「なんだい?」

「いきなりなのですが、デューク様にご家族はおられますか…?」


か ぞ く。


3年前の忌まわしきあの記憶がよみがえる。



「...いないよ。」

流石に声が震えてしまった。

それを感じ取ったローズは慌てて謝った。

「も、申し訳ありませんっ。」


その後に信じられない言葉が出てきた。





「アベル様から、デューク様にご家族がおられると聞いたもので…」