何考えてるのか、分からない。

俺は人の心の声を聞くことが出来る能力を持っている...が、力のコントロールがまだできず安定していない。

気がつくと聞こえている、という感じだが大事な時に限って聞こえないのが自分にとっては不便だ。

 
「はぁ…ッ、なんだその瞳。赤くなったぞ。」

「...。」

アベルは黙ってこっちを見ている。

「分かるだろ…今お前が体験したとおりだ。」

(なるほど、つまり威嚇のようなものか。)

「それで人を殺せるのか?」

「...ノーコメントだ。」

相変わらずじっと見つめてくる。


「というか、いつまで俺に乗っかかってるんだよ?どいてくれ。」

ぶっきらぼうに言うと。

「おいお前。昨夜のこと覚えてないんだったな?」

急に顔を近づけてきた。

「...だから?」

睨みながら聞く。

(なんなんだ...何かしたのか?)

「だから、俺に素直に従ったほうがいいよ?」

にやりと笑う。牙が見える。



「じゃないと、お前死ぬよ?」