「ねぇ、デューク。君は昨夜何があったか覚えてる?」


「昨夜...」

デュークは悩んでいるようだった。

「うん、覚えている?」

微笑みながら聞く。

「...なんにも…」

彼は消え入りそうな声で答えた。

(しめた...)

「そうなのか?それならなおさらだな。」

わざと嬉しそうに言ってみせる。

「は...?どういうことだよ...」

彼の目が見開く。

そこで俺は彼と目を合わせてみる。

「ッあ...や、やめ…」

彼は俺から目を逸らせずに怯え始めた。

「何故怯えてるんだ?目を合わせてるだけだろ?」

「違う...何かが入り込んでくる...いやだ怖い...」

「へぇ…?」

(ちっ...こいつ分かるのか。)

心内で毒づいた。

視線の先を変えると彼の首筋に黒い、蜘蛛の巣の紋章があるのが見えた。


(あ...そろそろ効いてくるかな)

そう思ったが...