そして小学5年生になろうとしていたとき、ようやく私にも春がやって来た。




いつものように1人で遊んでいた。



施設の先生に呼ばれたので玄関に行くと、そこには着物姿で"固い顔を無理に優しい顔"にしたような感じの顔のおじいちゃんが若い男の人を連れて私の目の前に立っていた。



その人は私のお母さんのお父さんらしい。つまり、私のおじいちゃんということ。


おじいちゃんに会えて嬉しいとか、私にまだ家族がいることが嬉しいとかよりも、『なんでいまさら』という感情の方が強かった。


あれから2年もたったし、多分お父さんのお葬式にもいなかった。

今日がほとんど初対面のこの人が、いきなりあなたのおじいちゃんなんだよ。なんて言われたって、当時小学5年生の私にはとても到底理解しがたいものだった。


私はおいてきぼりにされ、大人同士で話していた。

話し合われた結果、私はこのおじいちゃんに引き取られることになった。