私は被っていたフードをさらに深く被り、近寄って行った。
「ねぇ、ちょっとききたいんだけど?」
「……」
問いかけても返事がない。
「ねぇ、聞いてんだけど?返事ぐらいして。」
「…る……ぇな。」
何か喋ったようだけど、まだ少し距離があるし声がちっちゃかったから聞こえなかった。
「なに?なんていったの?」
「うるせぇって言ったんだよ!!」
もう一度聞くと、荒ぶった大きな声で教えてくれた。
でもその拍子に殴りかかってきた。
…ポスッ
冷たくて血まみれのその手は、私の手のひらにすっぽりとハマった。
男の子は目を大きく見開いている。

