始まりは、嘘。

「……そうだけど」


「わぁ〜〜〜……」





って、感心してる場合じゃなかった!!


「あっ、えっと、さっきはありがとうございました。あと、ほんとにすみませんでした!!…………お礼は……えっと……」

緊張して、うまく言葉が出てこない。





すると、私の前にいる彼は肩を震わせて笑っていた。


「え、私、何か変なことしましたか??」



「……いや、見てて面白いなって思って」





「そう、ですか??」


「うん。あ、お礼のことなんだけど、」

「私に出来ることであればなんでもします!!」



「なんでもって……、俺がほっとけなくて勝手にしたことだし」




「でも、ハンカチまで貸してもらったので、何かさせてください!!」


「……じゃあ、明日までに考えとく。」





「あの、名前……」


「桐島朔(キリシマ サク)。そっちは?」



「私は、小日向まこと、です」






「小日向さんね、よろしく」

「あ、こちらこそ」



「家は近い?」


「もうすぐです」



「そっか、じゃあ気を付けて」

そう言って歩き始めた桐島くん。



あ、



「桐島くん、ほんとにありがとう!!……です」


ちゃんと言おうって思ってたのに、敬語かどうかもわからないお礼を叫んでしまった。




桐島くんはクスッと笑って、帰っていった。