始まりは、嘘。

「ごめんなさい、支度遅くて」


「いいよ、全然」




「…………」

「…………」


その後の会話が思い浮かばない。

嘘カノの仕事を全うしなきゃいけないっていうのに……!





すると桐島くんの方から話しかけてくれた。


「小日向さんはさ、どこか寄って帰りたいとことかある??」


「いえ…………あ、雑貨屋さんとか、行ってみたいです」



気をつかって話しかけてくれたのに、私は咄嗟に漫画で読んだことのあるカレカノ放課後デートスポットランキング上位の場所をあげてしまった。



なんのひねりもない……。


「雑貨屋か……、最近お洒落な店がオープンしたって聞いたことあるかも。そこでいい?」




「っ全然いいでふ!!」

…………噛んだ。




それも盛大に。






「はははっ、小日向さん顔真っ赤」

「……笑った」




すごく綺麗に。
夕日が彼の魅力を最大限に引き出して。


恥ずかしさよりも、彼の笑顔に惹き付けられて不意に出た言葉だった。



「ん?」

「いや、あのなんていいますか、学校で笑ってるとこあんまり見なかったので、」



「そう?まぁ、ほんとに楽しいときは笑うよ、俺も」




じゃあ今、楽しいって思ってくれてるってことなのかな。

……よかった。