(は?)

「当たりどころが悪かったら、生きていませんでしたよ。」

(そんなの言われなくても分かってるってば。)

珠洲音は、自分から落ちたのではなく、落とされた。
しかも、幽霊に。

だが、それを言うのは嫌だった。
「何寝ぼけてるの?」と、馬鹿にされそうだった。

珠洲音が「見える」ことを知っている人間は、いない。
珠洲音も、言う気はなかった。

「じゃあね。」

その、珠洲音を怒った人は、さっさと帰っていった。