何も知らない君

むなしい。

普通の友達は、親や家族に誕生日を祝ってもらう。

ケーキを食べたり。
プレゼントをもらったり。
クラッカーを鳴らしたり。

そういうことを、するものだ。

たが、珠洲音には、そういった経験は、ほとんど無かった。

親との楽しい思い出なんか、何一つ覚えていない。

珠洲音は、父親を知らない。
顔も、名前も。
唯一知っているのは、名字だけ。