珠洲音は、クラスの中でも、人気のある子だった。

珠洲子も、たまに学校へ立ち寄ることもあったので、それを知っていた。

だから、珠洲子も安心できた。
『珠洲音は、独りではない』と。

「珠洲音ちゃん、昨日、誕生日だったんだよね。」

クラスメイトの美月が珠洲音に声をかけてきた。

「そうだよ。」

「お母さん、祝ってくれた?」

珠洲音は、一瞬黙り、顔を歪ませた。
しかし、

「ううん。」

と、すぐに答えた。