何も知らない君

珠洲音の姉は、珠洲子といった。
母親が珠洲音と付けたのは、珠洲子とおそろいにしたかったから。

「珠洲子、行ってらっしゃい。」

あれは、いつも通りの朝だった。
清々しい……とは、言えないが、まぁ、晴れた空か広がっていた。

「うん。行ってきます。」

赤い、大きなランドセルを背負い、走り去った。

それが、彼女の最後。

彼女は、珠洲子は、選ばれてしまった。
死ぬべき人間に。