ーside香音ー


ここ最近の美空は、前よりも感情を私たちに見せてくれるようになった気がする。



でも、それ以上に最近の美空は体調が悪い。



このまま旅立ちをして、大丈夫なのかな?



美空は、私達には絶対辛い様子を見せないから1人で我慢して抱え込んでしまうんじゃないのか。




喘息の発作を、お腹の中に押し込んでしまうのではないか。




美空は、前よりも体重が落ちている気がする。





「いくら、我慢しないでって言っても、美空は我慢するよな…。」





「何しけた面してんの?」




「理人!何で起きてるの?」




「それ、こっちのセリフでもあるよ。」





「てか、何で入ってきたのよ。」





「ドアが開いてたから。
トイレに起きて部屋の明かりが着いてたら何かあったとか思うだろ?」





「ごめん。」



「それより、美空は?」




「美空なら、多分リビングじゃないかな。」





「こんな夜中に?」




「発作起こして。1人で吸入して出て行っちゃった。」





「ちょっと、様子見に行くぞ。」





「今は…。行かない方がいいんじゃないのかな。」





「は?お前、何言ってんだよ。」




「美空は…。もしかしたら先生といた方がいいのかもしれない。」





「だから、お前何言って…!」





「美空は、私達より中森先生が傍にいた方が美空も、安心できるんじゃないのかな。それに、美空。発作が怖いなんて、誰にも言ってなかったんじゃないのかな。中森先生も、少し驚いてたから。」





「違うよ。」





「「大翔?」」





「美空だって、人間なんだ。ましては、呼吸困難になりかけて、怖くないって思うか?中森先生は、医者だから頼っても大丈夫って思ったから、素直に話したんじゃないのか?


俺も、最初は思ってた。
美空にとって、俺達と旅立つことが本当に幸せなのかなって。もしかしたら、先生とここにいた方が美空のためにいいのかもしれないって。


でも、それは俺の思い込みだった。美空が、本当にいたい場所が美空の帰る場所なんだ。安心できるところが居場所だろ?」




大翔の言葉は、痛いほど胸に突き刺さる。





私は、気付いたら美空のいるリビングへと向かった。