初恋を君に。


「おお、いらっしゃーい!椎くん今日は別のメンバーも?」




威勢よく迎えてくれた、マスター。
私達は、カフェにいつも、いる。









「今日は新しい友達を紹介しに来たぞ!」

「あ、日野永都です。よろしくお願いします!」

「永都くんね。よろしく。」







マスターの笑顔は、誰をも笑顔にするような、そんな力を持っている。





「愛里ちゃん、ちょっと手伝ってもらってもいい?」

「もちろん。今日はハートでいいの?」

「あれは?」

「ああ、あれはラテアート。愛里そっち系の道に進みたいって練習してて、今じゃマスターより上手いんだ。永都もなんか頼んでみる?」









私は慣れた手つきでハートを作ると、
注文してくれた学生カップルに持っていく。







「どうぞ。」

「わ!これお姉さんがしてくれたんですか?」

「はい。まだ、駆け出しですけど。」

「すごい可愛い!ありがとう!」








そこまで、喜んで貰えると、こっちもやりがいを感じる。
将来はここで働かないかと、マスターにも誘われている。









「愛里!俺らにも!」

「…はいはい。」






私はエプロンをつけ直して、またラテアートを作るべく準備を始めた。