激走の果て

言いすぎた。そう思った。案の定、彼女は俯いていた。

「そっか。でも、今からでも遅くないよ。そんな危ないことやめようよ。私は君に生きててほしい。お酒や煙草だってやめれてる人いるんだもん。大丈夫だよ」

「勘違いするなよ。俺はこいつを好きでやってんのさ。やめる理由もないのにどうしてやめなきゃいけないんだ。さっき、俺は酒や煙草と同じって言ったな。正確にはこいつは麻薬さ。スピードという名の麻薬だ。一度足を入れたらもう死ぬまでやめられねえ」

「そんな!!どうしてそんなに死に急ぐの!長生きしてればいつか…!」

「俺はお前と幸せになりたかった。将来、こんなことあったねって食卓で話したかった。仕事から帰ってきた時にお前に出迎えてもらいたかった。それだけだ」

「わかんないよ…」

「もう、俺の将来はどうでもいいって事だよ。今こいつで走って今日死んだとしても、後悔はない。ありがとう。話せて嬉しかった。お前は幸せになるんだぞ」

「……うん」