「危なくないの?」

「危ないさ。もちろん、他の車を巻き込む可能性もある。そうなったら俺は一生背負い続ける罪を背負うことになる。もちろん単独事故もありうる。単独事故なら間違いなく死ぬだろうな」

「やめなよ。そんな危ないこと」

「言ったろ?やめられねえのさ。お前言ったよな?新しい恋を見つけてって。俺は今恋してるのさ。圧倒的な速さ。下手すれば死ぬかもしれないスリルによ」

「私はそういう意味で言ったんじゃない!」

「そんなの知らないね。俺に残ったのはお前に振られたって事実だけだ。その事実を受け止めて、今がある。今更心配なんかしなくていい。俺とお前は赤の他人だろ?」

「そんな…寂しいこと言わないでよ。私は好きな人に幸せになって欲しくて…」

「ずるいぜ。お前は俺を振ったんだ。そこにどんな理由があれ、お前は俺を振ったんだよ。幸せになって欲しかった?お前が楽になりたかっただけじゃねえのかよ。俺はお前といるのが幸せだったんだぞ。自分から不幸のどん底に叩き落としておきながら今更偽善者ぶるなよ」