「君の新しい恋のお相手はどんな子なの?」

「知ってどうする」

「特にどうもしないけど、気になるから」

「そうか。アレだよ」

俺は車を指差す。

「え?」

「あそこに止まってる白のスポーツカー。あれが俺の車なんだけど、あいつで走るのが楽しいんだ」

「そうなんだ。昔から行動力はあったもんね」

「まあな。特に高速を走るのはたまらない。よく峠を走るヤツが多いが、俺はどうも高速を走っている時の方が楽しい」

「高速って景色変わんないじゃん。楽しいの?」

「楽しいさ。他車の追随を許さない速度で走っていくんだ。車と車の間を縫ってな。おっと、犯罪だとか言ってくれるなよ。そんな事はわかってる。分かってるけどやめられねえのさ。酒や煙草と一緒だよ」