私たちは自転車通学。家から高校まで30分くらいだ。
自転車を取りに行った瞬を、暗くなり始めた空を見上げて待つ。
私の自転車は随分と前にぶっ壊れて、それからずっと瞬の後ろに乗せてもらっている。
「なー、満ぅ」
瞬が自転車を押してやってきた。私はすぐに乗ろうとするが、瞬はそれを制した。
「……何?」
私は顔をしかめて瞬を見る。
瞬が私がいつも乗っている荷台をじっと見つめた。
「これさー、外さねー?」
瞬の言う、『これ』とは荷台の上に設置してあるクッションのことだ。
「やだよ、お尻痛いもん」
ピンク色でハート形のクッション。結構お気に入りなんだ。ビーズが入っていて、超柔らかい。
「そーゆー問題じゃねーだろ!お前がいないときにこれつけてチャリ漕ぐ俺の気持ち考えろ!!」
「うっさいなー」
ぴょん、とクッションの上に飛び乗ると、瞬は呆れたようにため息をついた。
あ、この顔。
ちょっぴり嫌いだ、と思う。
まぁ、いっか。そんな感じの顔。
なんでもかんでも、まぁ、いっか。で済ましてしまいそうなこの顔。
よくないことも。全部。

