すきなひと

そして、視線は重なった。


その綾ちゃんの行動に納得した。


あ。そっか。


私と2人きりにさせるのが嫌なんだ。


「あ、私……」

「ほら、早く。もう暗くなるから危ないよ。家遠いんだろ、帰んな」


先行ってる。と言おうとしたが、瞬はそれを遮るように綾ちゃんに優しさを含んで言った。


そんな瞬に綾ちゃんは頬を染めて、それから、我に返ったようにぺこりとした。


「あっ、りがとうございます!じゃ、ここに置いておきますね」


「ん、お疲れ」



うっわー、ずるい。

なんだかんだ言って、優しいし。顔もフツーだし。瞬は意外とモテるんだよなぁ。


なんだ、帰んなって。
かっこつけんな。


瞬のくせに。


私はもくもくと片付けを続ける瞬をじっと見つめる。

「……何見てんだよ」

瞬は不服そうに私を睨む。


「べっつにー」
「なんだよ、満のくせに」

ふん、と鼻で笑った瞬。


「あ、バカにしたな」


私が頬を膨らませると、瞬はしてねーよ、と面倒臭そうに言い、画材を鞄にしまった。ひとつひとつ、丁寧に。


大きいキャンパスも手にとる。家で続きするのかな。

「帰るかー。その前に職員室行かないと」

鞄を肩にかけ、また気だるげに言う瞬。私はそんな瞬の背中を追いかけて、隣に並んだ。