何度も何度も、あの場所で夕日を眺めた。
ナオちゃんの笑顔を、私は今でも覚えている。
きっと、夕日よりもナオちゃんの方が綺麗だ。
がんになったナオちゃんも、変わらず綺麗だった。
いつだって明るく笑って、私がお見舞いに行くと、いつもみたいに色んな話をしてくれた。無理をしていたんだろう。幼かった私は気づかなかったけれど。
私が、そんなナオちゃんの涙を見たのは、ナオちゃんが亡くなる数日前のことだった。
私がナオちゃんの病室に行くと、ナオちゃんはベッドの上で眩しそうに空を見上げていた。
私は、彼女が消えてしまう、とそんなことを思った。
とても、とても綺麗な人だから、きっと神様はナオちゃんが欲しくなってしまったんだ。
連れて行かないで、と私は泣き出したくなる。
「ナオちゃん」
声をかけるのも、声をかけないのも、私には怖かった。だから、発した言葉は少し掠れていて。ちゃんと、届いたかわからなかったけど、ナオちゃんはゆっくりと振り向いた。
「満、また来てくれたの」
にこり、といつもより少しだけ弱々しく笑ったナオちゃんは、私に座るように促す。今日のナオちゃんは何かが違う、ってなんとなくわかった。
「ねえ、満?」
「うん?」
「瞬は、大丈夫かなぁ」
ぽつり、と何かを零すようにナオちゃんが言った。私は、その先にある言葉を簡単に想像できてしまって。
それがすごく、すごく嫌で。あえて触れなかった。

