すきなひと




「そうだな。あいつらは見てらんない。いろんな意味で」

瞬はウンウン、と頷いて言う。

「いらっしゃい!何にする?」
と、そんな話をしているうちに、屋台のおじちゃんが目の前にいた。


「ゲソ一つください」
「俺半身」
「ゲソと半身!」


私、瞬、亮介の順に注文をすると、亮介は千円札を2枚、おじちゃんに渡した。


「よし、じゃあ俺のおごりな。遅れたお詫び。2人には内緒だぞ」


にしし、歯を見せて笑う亮介。



前言撤回。

亮介はこれでいて意外と紳士だし、モテるんじゃないかな。多分。

「ありがと。瞬も亮介みたいに優しかったらなぁ」
「俺はもっと優しいだろ」

瞬はイカ焼きにかぶりつきながら、私の皮肉をさらりと流してしまう。

可愛くないやつ。


「あ、ナギたちいた!」


私はなにやら手に持って歩く2人を発見し、声をかけた。芹菜のわがままに付き合って、あちこち回っていたみたいだ。

……食べ物を求めて。


「ごめん、ごめん。芹菜が甘酒飲みたいって言うから」
「ねえねえ!おみくじひこうよー!」