すきなひと




足を蹴り続ける瞬から逃れ、ナギに手を伸ばすが、ナギは超スマイルで亮介から距離をとった。

ナギはこう見えて結構毒舌。

3人のじゃれあいも慣れたものだ。


私は、久々に見れたこのやり取りが面白くて、クスクスと笑った。


「ナギちゃん、芹菜お腹すいた」


くいくい、と芹菜はナギのコートを引っ張った。

「さっき餅3つも食べたのに?じゃ、行こうか」


そんな芹菜に、ナギはふわりと笑って、ぽんと頭に手を置いた。にこにこ、と2人して笑いあって、歩き出す。


ナギは基本、誰にでも優しいけれど芹菜には特別優しいように思う。

芹菜も、ナギによく甘えるし……。


私たちも、少し間隔をあけて後ろからついていく。


「あの2人、まだ付き合ってねぇの?」

亮介が、仲良く歩く2人の背中を見ながら不思議そうに呟いた。

完全に2人の世界だ、と私も思った。


「お互いすきなんだと思うけど……ね」

うーん、と唸ってから言った。

「そりゃないだろ、いとこだぞ」


心底どうでも良さそうな声を出した瞬の足を、私は思いっきり踏みつけてやった。