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「また俺が運転してくの?」
20時半。瞬の家の前で仁王立ちになった私に、瞬は半分諦めたように言う。またあの表情だ。
「瞬は私の専属ドライバーでしょ」
「金払えよな……」
なにさなにさ。
その年にして儲かってるくせに。けちんぼ。
私たちは毎年恒例の、年越しに行くのだ。中学の頃からの友達と、もう5、6回目になるだろうか。
私は、久々に集まれる仲間たちを思い出して、鼻歌を歌いながら、自転車に揺られた。
「ミチル!!」
神社の近くまで行くと、背の高い男の子と、背の低い女の子が並んで立っているのが見えた。サイドに髪を可愛くまとめた彼女は、私たちに気づくなり、大きく手を振ってきた。
「芹菜(セナ)!!」
私も自転車を飛び降り、芹菜に駆け寄る。
「約1週間ぶり!」
芹菜は私の手をとってぴょんぴょんと跳ねる。こんなに笑顔が似合う女の子は他にいない、と私はいつも思う。
小さな顔に大きな瞳。背が低く、小動物みたいな彼女は、矢吹(ヤブキ)芹菜。
せりなじゃないよ、せなだよ。
芹菜はいつも明るくて、はしゃいでいるけど、意外と自分というものをしっかりと持っている。そんな素敵な子だ。
中学時代からの親友で、今も同じ高校に通っている。

