すきなひと




完璧じゃなくていい、そんなことを思っているなんて、初めて知った。

瞬は、すごくこだわりを持って絵を描いているように見えるから。
いや、実際こだわりはあるのたろう。


だけど、そうか。

瞬の考え方に、すごく納得できた。


「それに、俺の絵なんだ。俺が好きにならないとな」


慈しむように、瞬は手を繋いだ彼らを見つめていた。

指先まで、丁寧に丁寧に描かれている。今にも動き出しそうだ。


どんなに一緒にいたって、私はきっと瞬には一生敵わない。

「かっこいい……」


ぽつり、思わず言葉が口をついでてた。


自分の声で我に帰った。瞬の話に聞き入っていたことに気づく。慌てて口をつぐみ、瞬の顔に目を向けると、瞬は面を食らったような表情を浮かべていた。


それからすぐに表情を取り戻し、だろ?なんて言ってみせる瞬。


なんだか悔しい。



「よし、帰るか」
「うん」