すきなひと




瞬が、1人だと嫌だって言うからついてきてあげたけど、結局私は館内をぶらぶらしてるだけだった。

超絶暇。


そのうえ、昼過ぎからいたのにもう夕方だ。


しかも大晦日に。
記者さんも良くやるよ。


「ほら!もう帰ろう」


そう言ってまっすぐに出口に向かおうとするが、瞬にがっちりと腕を掴まれた。

「え、なに?」
「見に行こうぜ」


腕を引かれて、されるががまま瞬についていく。細いくせに、ちゃんと男の子の力だった。


「ちょっと瞬ぁ、もう帰りたいよ〜」

「まあまあ、黙ってついてこいって」


ぶつぶつ、と私は文句を言ったが、瞬はさらりと受け流して、私を離さない。


よし、と自分の作品の前で立ち止まった瞬は、

「じゃーん。結構傑作〜」

珍しく無邪気な笑顔を浮かべ、こちらを振り返った。そんな瞬の表情が嬉しくて、私も微笑む。

瞬の笑顔はとても可愛い。
と、私は思う。

それから、きれいだ。

「あははっ、はい、チーズ」


リュックからカメラを取り出し、シャッターを切る。すると今度は、腕を組んでドヤ顔を向けてくる瞬。

普段は写真に写るのは嫌がるのに、今日は機嫌がいいらしい。