すきなひと




「まどちゃん、ゲーム!」

優は待ちきれないと言うように、瞬を引っ張って行った。


ゲームとはテレビゲームのことで、この家にテレビはリビングに1台しか無い。


よかった、瞬が楽しそうで。

瞬は感情を表に出さないタイプだから、分かりにくい。だけど私はちっちゃい頃から知ってるから、それを読み取ることは簡単だ。

多分それは瞬も同じ。


私の考えてることなんてお見通しなんだと思う。


「お前、こんな簡単なステージもクリアできないのかよ!」

「えー、すんげぇ難しいし!これ!」


「ばっかだなー。ここは……」


ワイワイと瞬と優は楽しそうだ。


優はよく瞬になついているから、本当のお兄ちゃんみたいに思っているのだろう。
部屋で着替えてから、リビングに戻ると、

「おい満ー。優、激弱だよ」

瞬がこちらを振り返り、呆れ笑いのような表情で言った。


「優はバカみたいに攻撃力ばっかり強くしてるんだよ」


昨日、優の横でゲームを見ていた私は、そう教えてあげた。

優は曰く、攻撃が全て!らしい。というか、元々がバカだからどれをどうしたらいいのかわからないのだろう。ゲーマーなのに。