すきなひと




「ただいまーっ」
「お邪魔します」


2人で重ねて言いながら中に入ると、お風呂上がりなのか、頭をがしがしと拭いている優が、手前の扉から出てきた。


「あ!まどちゃん!」


パァッ。おもちゃを見つけた子供みたいに優は目を輝かせる。

「まどちゃん言うな。優、部活お疲れ」
「ありがとーー!!!まどちゃん、ゲームしよーぜ!!」


ハンドボール部の優は、今日も長い練習を終えているはずなのに超ハイテンションだ。

「あれ?まどちゃん縮んだ?」


優は最近背が伸びた。やはり部活動の影響か、体型もがっちりしてきている。優に言われて、瞬も気づいたようだ。

あまり背が高くない瞬は、顔が引きつっている。


そのうち抜かされるんだろうなぁ、と私は苦笑した。


「あら、まどちゃん。いらっしゃい!」


騒がしかったのか、お母さんがリビングから顔を出した。


「こんばんは、お邪魔します」
「ご飯食べてくよね?よーし、おばさん張り切っちゃうよー!」


優と同じく、お母さんもテンションが高い。

「いつもすいません」

瞬は申し訳なさそうに謝る。

お母さんはそんな瞬にいーのよ、いーのよとニコニコしながら言い、リビングに戻って行った。