「ご飯食べてく?」
「いーの?」
「うん。あ、そういえば優(スグル)がラスボスが倒せないって昨日言ってたよ」
榎尾(エノオ)優。
最近ちょっとお母さんに反抗期な私の弟だ。現在中学1年生。
2人はゲーム仲間だ。
最近発売したモンスターを倒しながらストーリーを進めていくゲームにはまっていて、昨日はひいひい呻いていた。
ゆうちゃんは中学1年生の頃から男手一つで瞬を育ててきた。でも、どうしても仕事を優先しなければいけないとき、瞬はうちでご飯を食べることがある。
ゆうちゃんは、あんまり料理が得意じゃない。
お母さんも、瞬がいると夕飯の作り甲斐がある、と張り切るし、お父さんも、瞬とは話が合うので嬉しいみたいだ。
我が榎尾家は瞬LOVEなのだ。
「とーちゃーく!」
家の前に着いて瞬が自転車を止めるなり、私はぴょん、と飛び降りた。
「はーお腹空いたぁ」
「相変わらず食い意地張ってるな」
はん、と瞬が鼻で笑う。
私はそんな瞬をきっ、と睨んでから玄関のドアを開けた。
瞬の家と私の家はお向かいさんだ。

